ファクタリングの返済の遅延及び滞納 弁護士に依頼した場合に変わることと変わらないこと

電卓を示すスーツ姿の男性

ファクタリングの支払が困難となった局面で、弁護士に依頼した場合に何が変わるのかという御質問をいただきます。期待していた結果と実際に得られる結果との間に隔たりがありますと、依頼そのものが無駄になりますので、あらかじめ率直に整理いたします。

本ページでは、弁護士に依頼した場合に変わることと変わらないこと、依頼を検討すべき時期、御相談の際に御用意いただきたい資料、及び費用の考え方を整理します。

弁護士に依頼しても変わらないこと

第1に、業者からの連絡が当然に止まるものではありません。ファクタリングは売掛債権の売買であり、金銭の貸付けではありませんので、貸金業法第21条第1項第9号の適用はありません。同号は、貸金業を営む者が、債務者が弁護士に委任した旨の通知を受けた後に、正当な理由なく債務者へ支払を請求することを禁ずるものですが、ファクタリング業者はこの規律の対象ではありません。

第2に、債権譲渡の通知の送付を妨げる法律上の根拠は、原則として存在しません。通知は譲受人が有する権利の行使です(民法第467条第1項)。送付の回避、延期又は撤回は、交渉によって求めるほかありません。

第3に、支払うべき金額そのものが当然に減額されるものではありません。分割による支払も、業者に応じる義務はありません。

第4に、手数料の水準のみを理由として、支払った金銭の返還を請求することはできません。ファクタリングには利息制限法及び出資法の適用がありませんので、過払金の返還請求と同じ枠組みによることはできません。

第5に、譲渡の対象とした債権の内容に事実と異なる部分がある場合の刑事上の責任が、依頼によって消滅するものではありません。

弁護士に依頼した場合に変わること

第1に、連絡の窓口が一本化されます。複数の担当者から個別に連絡が入る状態では、話が積み上がりません。窓口を定めることにより、協議の場が整います。

第2に、その場での応答による不利益を避けることができます。口頭で述べた金額と期日は、後の協議において前提として扱われます。履行することのできない内容を述べることによる信用の低下を防ぐことができます。

第3に、提案が資料により裏付けられます。資金繰りの見込みを作成し、履行することのできる内容を書面により提示することにより、協議が調う可能性が高まります。

第4に、契約の内容が精査されます。買戻し、償還請求、期限の利益の喪失、損害金及び違約金に関する条項を確認し、請求されている金額の算定の根拠を求めることができます。

第5に、複数の業者との関係が整理されます。残額、担保の有無、通知の有無を踏まえて対応の順序を定めることにより、全体の収拾が可能となります。

第6に、売掛先に対する説明の方法を準備することができます。既に通知が送付された場合においても、説明の内容及び順序を整えることにより、取引の維持を図ることができる例があります。

第7に、法的手続への対応が可能となります。訴訟の提起、支払督促の申立て、仮差押命令の申立てがされた場合の対応、及び刑事手続への対応を行うことができます。

依頼を検討すべき時期

最も選択肢の広い局面は、売掛先に対する債権譲渡の通知がされる前です。通知が送付された後は、取引の維持が困難となり、資金繰りの再建の前提が失われることがあります。

具体的には、次のいずれかに該当した時点で御相談ください。

  • 次回の支払期日を履行することができるかどうかが不確かとなったとき
  • 業者から、取引先に連絡する旨を告げられたとき
  • 複数の業者との間で資金が循環している状態となったとき
  • 業者から、新たな契約書又は委任状への署名を求められたとき
  • 裁判所から書類が届いたとき
  • 捜査機関から連絡を受けたとき

御相談の際に御用意いただきたい資料

1 債権譲渡契約書、基本契約書及び個別契約書(業者ごとに全部)

2 業者へ提出した資料の控え(請求書、注文書、検収書、通帳の写し、決算書類等)

3 通帳又は取引明細(買取代金の入金及び業者への送金が分かるもの)

4 業者の担当者との連絡の記録(電子メール、通信アプリケーションの履歴、着信の履歴、録音)

5 債権譲渡の通知の有無及び債権譲渡登記の有無が分かる資料

6 直近3期の決算書類

7 今後3箇月の資金繰りの見込み

資料がそろっていない段階でも御相談をいただくことができます。何を集めるべきかを御案内することも、御相談の内容に含まれます。

弁護士費用の考え方

弁護士費用の考え方及び目安は、当事務所の弁護士費用の御案内のページに記載しています。御相談の際に、案件の類型を切り分けたうえで、算定した見積りを提示します。案件の類型としては、支払の方法の交渉、債権譲渡の通知への対応、契約内容の精査、刑事手続への対応、訴訟の提起及び応訴が挙げられます。

結果を保証することはできません。できないことをできると申し上げることはいたしません。

御依頼をいただいた場合の作業の内容

第1に、事実関係の確定です。業者ごとに、契約書、提出資料、入出金の記録を時系列で整理します。記憶に基づく整理ではなく、資料に基づく整理を行います。この作業により、請求されている金額の根拠、通知の送付の要件、他の業者との関係が明確になります。

第2に、資金繰りの見込みの作成です。今後3箇月から6箇月について、売掛先ごとの入金の予定と、支払の予定を日単位で作成します。この資料が、その後のすべての協議の基礎となります。

第3に、方針の確定です。事業の継続を優先するのか、既に生じた負担を争うことを優先するのかを定めます。あわせて、業者ごとの対応の順序を定めます。

第4に、連絡の窓口の設定です。受任した旨を通知し、以後の連絡を当事務所が受けます。前述のとおり、これにより当然に催促が止まるものではありませんが、協議の場を整えることはできます。

第5に、協議の実施です。支払の方法、債権譲渡の通知の取扱いについて、書面により提案し、協議を進めます。

第6に、法的手続への対応です。訴訟の提起、支払督促の申立て、仮差押命令の申立てがされた場合には、期限に従って対応します。

御相談の際にお伝えいただきたい事項

第1に、次回の支払期日と金額です。時間的な余裕の有無によって、採るべき手段が異なります。

第2に、業者の数と、それぞれの残額です。概算で差し支えありません。

第3に、売掛先に対する債権譲渡の通知の有無です。既に送付されている場合には、その時期と相手方をお伝えください。

第4に、譲渡した債権の内容に事実と異なる部分があるかどうかです。この点は、対応の順序を大きく左右しますので、正確にお伝えください。

第5に、回収した資金を業者へ引き渡していない事実があるかどうかです。

第6に、裁判所又は捜査機関からの連絡の有無です。

これらについて事実と異なる説明をされますと、方針を誤ります。当事務所は、いかなる内容であっても、弁護士法上の守秘義務に基づき秘密を厳守いたします。

費用の考え方

弁護士費用の考え方及び目安は、当事務所の弁護士費用の御案内のページに記載しています。御相談の際に、案件の類型を切り分けたうえで、算定した見積りを提示します。

案件の類型としては、支払の方法の交渉、債権譲渡の通知への対応、契約内容の精査、刑事手続への対応、訴訟の提起及び応訴が挙げられます。着手の範囲を限定することにより、負担を調整することができる場合があります。

結果を保証することはできません。できないことをできると申し上げることもいたしません。

当事務所が受任しない場合

第1に、利益が相反する場合です。相手方となる業者から既に御依頼をいただいている場合には、御依頼をお受けすることができません。御相談の際に、相手方の商号を確認させていただきます。

第2に、御相談の内容が事実と異なる場合です。事実と異なる説明を前提として方針を定めますと、かえって不利益が生じます。

第3に、御希望の結果を得る見込みがない場合です。できないことをできると申し上げることはいたしませんので、見込みがない場合にはその旨を率直に申し上げます。

第4に、既に他の弁護士に御依頼をいただいている場合です。方針が二重となりますので、まず従前の御依頼の取扱いを整理していただく必要があります。

第5に、いずれの場合においても、御相談の内容は弁護士法上の守秘義務に基づき秘密を厳守いたします。

他の事務所からの引継ぎ

既に他の弁護士に御依頼をいただいている場合には、まず従前の御依頼の取扱いを整理していただく必要があります。方針が二重となりますと、業者との協議に混乱が生じます。

引継ぎに際しては、従前の弁護士が保有している資料、協議の経過、業者に対して述べた内容を確認する必要があります。特に、支払の方法について約束をしている場合には、その内容を正確に把握しなければ、方針を定めることができません。

セカンドオピニオンとしての御相談もお受けしています。この場合には、御依頼をお受けするものではなく、方針についての意見を申し上げるにとどまります。

いま確認していただきたいこと

1 業者ごとの残額、支払期日、担保の有無及び通知の有無を一覧にしてください。

2 今後3箇月の資金繰りを、日単位で作成してください。

3 契約書における期限の利益の喪失、損害金及び違約金に関する条項を確認してください。

4 業者との連絡の記録を保全してください。削除しないでください。

5 裁判所からの書類がある場合には、期限を直ちに確認してください。

よくあるご質問

受任の通知を送れば、催促は止まりますか。

止まりません。ファクタリングには貸金業法第21条第1項第9号の適用がありませんので、通知により当然に催促が止まるものではありません。もっとも、弁護士が窓口となることにより、協議の場を整えることはできます。

債務整理の対象になりますか。

ファクタリングは売買ですので、貸金債務の整理と同じ枠組みによることはできません。もっとも、事業全体の再建を検討する場合には、私的整理、民事再生その他の手続の対象として位置付けることとなります。

取引先への通知を止めてもらえますか。

通知は譲受人の権利の行使ですので、これを妨げる法律上の根拠は原則として存在しません。送付の回避、延期又は撤回は、交渉によって求めることとなります。結果を保証することはできません。

費用を支払う余裕がありません。

御相談の際に、案件の類型を切り分けたうえで見積りを提示します。着手の範囲を限定することにより、負担を調整することができる場合があります。

遠方に所在していますが、依頼することはできますか。

日本全国からの御相談をお受けしています。

会社の従業員に知られたくありません。

御相談の内容は、弁護士法上の守秘義務に基づき厳守します。連絡の方法についても、御希望に応じて調整いたします。

おわりに

弁護士に依頼することによって、催促が当然に止まるものではなく、通知の送付を妨げることもできません。他方で、連絡の窓口を定め、資料に基づいて履行することのできる提案を組み立て、複数の業者との関係を整理することにより、事態を収拾することができる例は少なくありません。

できることとできないことを率直に申し上げたうえで、方針を定めます。

必ず解決できますから、一緒に頑張りましょう。

ファクタリングの返済の遅延及び滞納に関する御相談
弁護士法人M&A総合法律事務所 電話番号 03-6435-8418
受付時間 8時00分から21時00分まで(土曜・日曜・祝日を含みます)

御留意事項

本ページの記載は、ファクタリングの返済の遅延及び滞納に関する一般的な法制度及び当事務所の取扱いの説明であり、個別の事案について一定の結果を保証するものではありません。見通し、要する期間、回収し又は負担する金額その他の帰結は、事案ごとの事実関係及び資料によって異なります。

また、課税関係につきましては税理士の職域ですので、当事務所において判断することはいたしません。税務上の取扱いについては、顧問税理士に御確認ください。

法令の改正、裁判例の集積により内容が変わる場合には、記載を改めます。実際の御依頼に際しましては、必ず個別に御相談ください。御相談の内容は、弁護士法上の守秘義務に基づき秘密を厳守いたします。

出典

  • 民法第467条第1項
  • 貸金業法第2条第1項、第21条第1項第9号
  • 利息制限法第1条
  • 出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律第5条

具体的な御相談をお考えの皆様へ

本ページの主題に関し、当事務所の取扱内容、対応の進め方及び費用の考え方は、次の御案内のページに整理しています。あわせて御覧ください。