日刊建設工業新聞に当事務所の取扱いが紹介されました 建設業におけるファクタリングの実情と対応

ファクタリングの返済にお困りではありませんか?

この記事の位置付け

支払が困難となった場面の対応は、交渉により資金繰りを立て直す場面と、訴訟その他の法的手続へ応じる場面とに分かれますので、次のとおり切り分けます。本ページは、建設業におけるファクタリングの実情と当事務所の取扱いを扱います。

▶ ファクタリングの返済が困難となったとき 支払の交渉、債権譲渡の通知への対応及び資金繰りの立て直し

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令和6年4月19日付けの日刊建設工業新聞において、当事務所のファクタリングに関する取扱いが紹介されました。

建設業においては、工事の完成から代金の入金までの期間が長く、その間の資材費及び労務費を先行して負担する必要があります。この構造から、資金繰りの調整の手段としてファクタリングが用いられる例が多く、当事務所にも建設業を営む事業者の方からのご相談を数多くいただいています。

本ページでは、当該記事において取り上げられた事項に関し、当事務所の考え方を整理して述べます。個別の事案における結果を保証するものではありません。

建設業においてファクタリングが用いられる背景

第1に、工事の完成から代金の入金までの期間が長いことです。出来高に応じた支払がされる場合であっても、資材費及び労務費の支出が先行します。

第2に、受注の増減が大きいことです。受注が増加した局面において、先行する支出が増加し、資金繰りが逼迫することがあります。

第3に、元請の事情による影響を受けやすいことです。工事の中断、設計の変更、検収の遅れにより、予定していた入金の時期が後ろにずれることがあります。

第4に、売掛先が比較的信用力の高い事業者であることが多いことです。このため、譲渡の対象となる売掛債権としての適格性が認められやすい傾向があります。

債務整理及び過払金の返還請求とは対応が異なること

ファクタリングは売掛債権の売買であり、金銭の貸付けではありませんので、貸金業法、利息制限法及び出資法の適用はありません。したがって、手数料の水準が高いことのみを理由として、これらの法令に違反するということにはなりません。もっとも、売買の形式が採られていても、その実質において金銭の貸付けと同視すべきであると判断された下級審裁判例がありますので、契約の内容及び運用の実態によっては、別途の検討を要します。

この結果、貸金債務の整理と同じ枠組みによることはできません。具体的には、次の点が異なります。

第1に、弁護士が受任した旨を通知したことのみによって、催促が当然に止まるものではありません。貸金業法第21条第1項第9号の適用がないためです。

第2に、手数料の水準のみを理由として、支払った金銭の返還を請求することはできません。利息制限法の適用がないためです。

第3に、譲渡された売掛債権は譲渡人の財産ではありませんので、破産の手続によっても、譲受人が売掛先から回収することを妨げることはできません。

売掛先への影響が事業の継続を左右すること

ファクタリングにおいて最も重要な資産は、売掛債権そのものではなく、売掛先との取引関係です。売掛債権は、取引関係から継続的に生み出されるものだからです。

ところが、譲受人が有する最も強力な回収の手段は、売掛先に対する債権譲渡の通知です(民法第467条第1項)。通知が送付されますと、売掛先は取引の継続を再考します。

建設業においては、元請との取引関係が事業の基盤となっている場合が少なくありません。元請を失いますと、資金繰りの再建そのものが困難となります。

したがって、対応に当たっては、売掛先との取引関係を守ることを判断の軸に置くこととなります。

当事務所における取扱い

第1に、事実関係の確定です。業者ごとに、契約書、提出資料、入出金の記録を時系列で整理します。

第2に、連絡の窓口の設定です。弁護士が窓口となり、業者からの連絡に対応します。

第3に、支払の方法に関する交渉です。資金繰りの見込みに基づいて、履行することのできる内容を書面により提示します。

第4に、売掛先への通知に関する交渉です。送付の回避、延期又は撤回に向けた交渉を行います。結果を保証するものではありません。

第5に、売掛先に対する説明の準備です。既に通知が送付された場合においても、説明の方法を整えることにより、取引が維持された例があります。

第6に、資金繰りの立て直しです。事業の継続が困難である場合には、私的整理その他の手続を検討します。

建設業における資金繰りの構造

建設業においては、工事の着手から完成、引渡し、そして代金の入金までの期間が長期にわたります。この間、資材費、外注費、労務費の支出が先行しますので、工事の規模が大きくなるほど、また受注が増加するほど、必要となる運転資金が増大します。

公共工事においては前払金の制度がありますが、民間工事においては、出来高に応じた支払がされる場合であっても、査定及び検収の手続を経ますので、支出との間に時間差が生じます。

また、元請、一次下請、二次下請という重層的な構造のもとでは、下位の事業者ほど支払の条件が厳しくなる傾向があります。手形による支払がされる場合には、資金化までの期間が更に長くなります。

この構造から、売掛債権を支払期日の前に資金化する手段に対する需要が生じます。他方で、負担の水準が高い取引を反復しますと、工事の利益が手数料に費消され、受注が増加するほど資金繰りが悪化するという事態に至ります。

建設業の事業者の方からお受けするご相談の類型

第1の類型は、元請の事情により入金が遅れた事案です。工事の中断、設計の変更、検収の遅れによるものが典型です。この類型においては、出来高を確定し、入金の見込みを資料により示すことが、業者との協議の中心となります。

第2の類型は、受注の増加に伴い運転資金が不足した事案です。売上高は伸びているにもかかわらず資金が不足しますので、状況の把握が遅れる傾向があります。

第3の類型は、複数の業者との間で資金が循環している事案です。毎月の支払の順序を組み替えて維持している状態であり、譲渡することのできる売掛債権の残量が減少しつつあります。

第4の類型は、元請に対して債権譲渡の通知が送付された事案です。元請との取引が事業の基盤となっている場合には、取引を失うことが事業の継続に直結します。この類型においては、元請に対する説明の内容及び順序を整えることが最優先となります。

第5の類型は、まだ発生していない工事について請求書を作成して提出してしまった事案です。この場合には、民事上の責任にとどまらず、刑事上の責任が問題となりますので、業者から指摘を受ける前の段階でのご相談をお勧めしています。

建設業の事業者の方に特有の確認事項

第1に、出来高の確定の状況です。工事が進行中である場合には、いずれの時点までの出来高について請求権が発生しているかを確認してください。譲渡の対象とすることのできるのは、発生した債権又は将来発生する債権であり、発生する見込みのない工事について請求書を作成することは避けなければなりません。

第2に、下請に対する支払の状況です。下請に対する支払が遅滞しますと、施工体制そのものが維持できなくなります。ファクタリングにより調達した資金の使途において、下請に対する支払を優先することが必要です。

第3に、建設業の許可に関する事項です。財務の状況によっては、許可の要件を満たさなくなることがあります。経営事項審査を受けている場合には、その評点への影響も生じます。

第4に、公共工事の受注への影響です。債権譲渡登記の存在、財務の状況が、入札の参加資格に影響することがあります。

第5に、元請に対する債権譲渡の通知の影響です。建設業においては、元請との取引関係が事業の基盤となっている場合が少なくありません。通知が送付されますと、以後の受注に影響します。

資金繰りの改善のために検討することのできる手段

第1に、前払金の制度の活用です。公共工事においては、前払金保証事業会社の保証を受けることにより、前払金を受領することができる場合があります。

第2に、中間前払金及び出来高部分払の活用です。契約において定めがある場合には、工事の進行に応じた支払を求めることができます。

第3に、元請との支払条件の協議です。支払のサイトの短縮、手形による支払から現金による支払への変更を求めることが考えられます。

第4に、金融機関からの借入れです。工事ごとの資金需要に応じた融資の制度が設けられていることがあります。

第5に、下請代金の支払に関する制度の活用です。

第6に、受注の選別です。採算の合わない工事を受注しますと、施工するほど資金が不足します。取引先ごとの採算を確認してください。

ご相談をお受けする体制

第1に、日本全国からのご相談をお受けしています。遠隔地に所在される場合であっても、電話及び電子的な方法により対応いたします。

第2に、受付時間は8時00分から21時00分までとしており、土曜日、日曜日及び祝日も含みます。支払期日が迫っている場合には、その旨をお伝えください。

第3に、資料がそろっていない段階でもご相談をいただくことができます。何を集めるべきかをご案内することも、ご相談の内容に含まれます。

第4に、ご相談の内容は、弁護士法上の守秘義務に基づき秘密を厳守いたします。

第5に、弁護士費用の考え方及び目安は、当事務所の弁護士費用のご案内のページに記載しています。ご相談の際に、案件の類型を切り分けたうえで、算定した見積りを提示いたします。

掲載に関するご案内

本ページに掲載しています記載は、当事務所の取扱いの説明であり、日刊建設工業新聞の記事の内容を転載するものではありません。

当事務所の取扱いに関する取材、寄稿のご依頼につきましては、お問い合わせのページよりお申し込みください。

建設業を営む事業者の方からのご相談は、日本全国からお受けしています。次回の支払期日を履行することができるかどうかが不確かとなった時点でご相談ください。

いま確認していただきたいこと

1 業者ごとの残額、支払期日、担保の有無及び通知の有無を一覧にしてください。

2 契約書における買戻し又は償還の事由の範囲を確認してください。

3 主要な売掛先との取引額と、その事業に占める比重を確認してください。

4 出来高の確定していない工事について、数量及び金額を整理してください。

5 今後3箇月の資金繰りを、日単位で作成してください。

よくあるご質問

建設業に特有の事情はありますか。

工事の完成から入金までの期間が長いこと、元請の事情による影響を受けやすいこと、元請との取引関係が事業の基盤となっていることが挙げられます。

債務整理として扱ってもらえますか。

ファクタリングは売買ですので、貸金債務の整理と同じ枠組みによることはできません。もっとも、事業全体の再建を検討する場合には、私的整理その他の手続の対象として位置付けることとなります。

元請に知られたくありません。

通知が送付されていない段階であれば、送付の回避又は延期に向けた協議の余地があります。結果を保証することはできません。

遠方に所在していますが、依頼することはできますか。

日本全国からのご相談をお受けしています。

資料がそろっていませんが、相談することはできますか。

できます。何を集めるべきかをご案内することも、ご相談の内容に含まれます。

おわりに

建設業においては、元請との取引関係が事業の基盤となっている場合が少なくありません。ファクタリングに関する対応に当たっては、この取引関係を守ることを判断の軸に置くこととなります。

次回の支払期日を履行することができるかどうかが不確かとなった時点でご相談ください。

必ず解決できますから、一緒に頑張りましょう。

建設業の事業者の方からのご相談
弁護士法人M&A総合法律事務所 電話番号 03-6435-8418
受付時間 8時00分から21時00分まで(土曜・日曜・祝日を含みます)

ご留意事項

本ページの記載は、建設業におけるファクタリングに関する一般的な法制度及び当事務所の取扱いの説明であり、個別の事案について一定の結果を保証するものではありません。見通し、要する期間、回収し又は負担する金額その他の帰結は、事案ごとの事実関係及び資料によって異なります。

また、課税関係につきましては税理士の職域ですので、当事務所において判断することはいたしません。税務上の取扱いについては、顧問税理士にご確認ください。

法令の改正、裁判例の集積により内容が変わる場合には、記載を改めます。実際のご依頼に際しましては、必ず個別にご相談ください。ご相談の内容は、弁護士法上の守秘義務に基づき秘密を厳守いたします。

出典

  • 日刊建設工業新聞令和6年4月19日付け紙面(当事務所の取扱いの紹介)
  • 民法第467条第1項
  • 貸金業法第2条第1項、第21条第1項第9号
  • 利息制限法第1条
  • 出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律第5条

具体的なご相談をお考えの皆様へ

本ページの主題に関し、当事務所の取扱内容、対応の進め方及び費用の考え方は、次のご案内のページに整理しています。あわせてご覧ください。